第2会社方式(別会社にて事業継続)
第2会社方式とは
経営が危機的状況に陥ってしまった企業においては、経営改善や会社を再生させることを検討しますが、その状況によっては会社の再生を断念せざるを得ない場合があります。
しかし、中小零細企業においては、経営者の人生を守り従業員の生活維持を確保する責務があることから事業を辞める訳には行きません。
そのような場合、第2会社方式と呼ばれている方法をとることにより、事業を継続することが可能となります。
この第2会社方式とは、中小企業庁が推奨している形態や任意で行う形態など、対応方法は複数ありますが、基本的には別の会社を設立して事業を継続することになります。
よくある質問では、違法行為にならないのかということや、債権者である金融機関や、他の債権者から了解を得ることができるのかというものがあります。
これについては、色々な立場や考え方、やり方により様々なご意見や捉え方があるようですが、道義的なことだけで言えば「借りた金は返すことが当然だ」ということになりますし、金融機関としても貸したお金は全額返済しろということは当然のことなので、合意を得るためには協議や交渉も必要となります。
また、経営が破綻してしまっている状況においては、返したくても返すことができない状態に陥っています。
そのような状況において、悪質な資産隠しをしたり、自宅を奥さんや子供に贈与して名義を変えてしまうようなことをすれば指摘を受ける可能性が高いので行うべきではありませんが、別会社を設立して事業を行うこと自体は違法行為ではありませんので、否認されるような形態での設立でなければ引き継ぐことは可能です。
但し、だからといって、単純に会社を設立し、看板替えをしただけで事業を継続しているなどということは、説明するまでもなく詐害行為として金融機関から指摘を受けることは必至なので、安易な行動は行うべきではありません。
別の角度で考察してみれば、重く圧し掛かる借入金や債務を無くすには、会社破産と経営者の自己破産手続きをすれば無借金になることは可能ですが、それこそ法律を使って借金を踏み倒すことになるので、捉え方によっては道義的に反する行為といえるかも知れません。
そのようなことから、明らかに出来ないことを無理やり行おうとするのではなく、今の時点において最大限できることを、金融システムを活用しながら取り組みしていくことが大事なことなのです。
そして気になることは債務超過となっている既存会社のことと思います。この対処方法としては、可能な範囲で返済を続けることも選択肢の一つですが、多くは会社を整理することになろうかと思います。
会社を整理するには破産手続きによる法的整理や特別清算という手続きもありますし、私的整理で会社を再生させることも選択肢の一つとしてあります。
よって、これらの法的整理または私的整理をする場合には、弁護士の協力のもと進めていくことになりますが、何れにしても大なり小なりの痛みを伴うことになります。
それでも絶対に事業を再生させるという強い意志と覚悟があれば成し遂げることができるはずです。
法的整理により会社を清算する
法的整理には、破産手続きや特別清算手続き、民事再生手続き、会社更生手続き等、様々な手続きがあります。
この何れも、裁判所の関与の下で行われることになるので、手続きを行う際には弁護士に委任して進めることになります。
法的整理のメリットとしては、債務を減額することができたり、債務の弁済をする必要がなくなるということなのですが、デメリットとしては周りに知れ渡る可能性が高いので、社会的信用を失ってしまう場合があるということです。
私的整理にて会社を再生させる
私的整理とは、法的整理と違い裁判所を介さず、金融機関等の債権者と当事者間だけでの話し合いで進めていく方法です。
利点としては、日々の仕事で取引が必要不可欠である取引先には知られることなく、金融機関だけを対象として交渉することが可能だということや外部には知られずに協議できるということです。
但し、事業再生などの場合は、支払いするところと返済しないところと不平等になり、偏頗弁済ということは了承できないと金融機関から承諾を得られないこともあるので、難しい交渉になることも珍しくありません。
このような場合には、中小企業再生支援協議会や地域経済活性化機構、事業再生ADRなどといった機関が、このような私的整理に取り組みしているのですが、なかなかハードルが高く非常に時間を要するので、それなりの時間と費用が掛かることを認識しておく必要があります。