信用保証協会・債権放棄
金融機関への返済ができなくなった場合に、債権カットや債権放棄という債権処理方法があります。
税務上の問題があり、なかなか簡単にできるものではないのですが、条件が整えば、逆に金融機関の方から積極的に行なってくることもあるのです。
ですが政府系の日本政策金融公庫や信用保証協会においては、民間の金融機関のようには行きません。
その理由としては、国民の税金を原資として使って融資をしたり代位弁済をしたりしていますので、簡単には債権放棄に応じてくれないのです。
ところが、今までは絶対に債権放棄しないと言われてきましたが、最近では債権放棄された事例がぽつぽつ出てきています。
その債権放棄をする条件の一つには、公で公表されている求償権の放棄に係わる基準があるのですが、とてつもなく難しい要件をいくつも満たさなければなりませんので、恐らく殆どの企業は基準をクリヤーできないでしょう。
しかし、厳しい要件を満たさなくても、信用保証協会が債権放棄に応じことはあるのです。
そうそう簡単には行きませんが、現在は水面下で債権放棄が行なわれているケースもありますので、まったく希望は持てないということではなくなりました。
確かにそんな甘いのもではありませんが、平成26年から中小企業庁が導入した経営者保証ガイドラインが施行され、経営者個人の保証に対しては極端に追い込むようなことはしないように変わったことから柔軟な考え方に方向転換したのかも知れません。
例えば、会社経営を辞めて年金暮らしをしているような高齢者で、弁済できる状況にないと判断されれば僅かな一時支払金で残債を放棄するとか、連帯保証人が亡くなった時に僅かな一時支払金で残債を放棄するなど、事例はその他いろいろあるようです。
このように、今までは絶対に無理と言われていたことが、少しずつ緩和されてきていることは良い傾向にありますが、まだまだ簡単には債権カットや放棄をしてくれませんので、甘い期待はされない方が無難かも知れません。
ただ、だからと言って喜んでばかりもいられないようです。
それは、最近、信用保証協会は債権回収の姿勢を転換させて厳しい対応を取るようになってきたからです。
信用保証協会は、債権回収をする基本的対応として企業の所有不動産や経営者個人の自宅などを処分させて債権を回収することがマニュアル化されているようなので、これについては従来と変わらない厳し対応を取られます。
しかし、それ以外は経営者の収入や生活環境において柔軟な対応も見受けられていたのですが、ここ最近では代位弁済後直ぐに手厳しい追求をされたり、代位弁済後かなりの年月が経過しているのに行き成り担当者が自宅へ訪問して来たりなど、今までは見られなかった対応が多くなってきました。
特に地方の信用保証協会では、経済的合理性などはお構いなしに非常に手厳し対応をしてくるところもあるようです。
見聞きしている限りでは、その担当者の感情で対応をしているようにも感じられるケースもあります。
そのようなことから考察すると、地域性や管理監督者の方針、担当者の考え方や性格により、目を見張るようなほどの対応が異なることもあるようなので、今まで何も言って来ないからといって油断していると痛い目に遭うことがあるかもしれません。
現時点において、全国の信用保証協会は非常に大きく膨らんでしまった求償権の未回収が累積しています。
信用保証協会の対応が変化したのは、これ以上、回収が困難な求償権を膨らませないよう国の政策が方針として打ち出しているからなのでしょう。
刻一刻と変化する現実に応じて、知恵を湧かせていくことが大切です。