納税猶予のメリット・デメリット
休業要請や様々な規制が解除されたことにより、全国的に活気が戻りつつあります。
今まで閑古鳥が鳴いていた観光地も、多くの人が訪れるようになってきました。
東京では連日、数十人の感染者が出ているので、以前であればマスコミが大騒ぎしているはずなのですが、今は経済活動の再開による活気を冷えさせないためなのか、静かになっています。
政府では新型コロナウイルス対策の支援策をたくさん打ち出してきましたので、多くの企業は融資を受けて手元資金は潤沢になっていることだと思います。
また、資金調達ができなかった企業においては、税金や社会保険料の納税猶予をしてもらうことができたので、とりあえずは一息つけたのではないでしょうか。
もし、このような支援策がとられていなかったとするならば、多くの中小零細企業は経営破綻し、倒産していたことは説明するまでもありませんが、一時的には危機を脱出したと言えるでしょう。
しかし、本当の危機を迎えるのはこれからかもしれません。
国は多額の税金を投入して国民や企業を守り、税金の納税まで猶予し、かつ、経営を圧迫された企業からの税収は減収となることから、国の財政は困難な状態となることは言うまでもありません。
そのようなことから考察すれば、コロナ問題が終息するにあたり、増税や企業への税務調査などにより手厳しい調査が行われて課税されるなど、税収を増やすことは言わずと知れています。
また、それだけではなく、中小零細企業の経営を圧迫しかねない要因は、借り入れした資金の返済負担が増えることと、翌年度の納税と前年度に猶予してもらった税金の納税や社会保険料の納付が重なることです。
従来の営業活動においても、納税や社会保険料の負担が重く圧し掛かり、借入金の返済も苦しい状況であった事業者においては、問題を先送りした付けが回って来ることになりますので、来年の5月頃は冷や汗が出る状況になっているかも知れません。
希望としては、従来以前以上に景気が良くなり、売り上げや利益が増えて資金繰りが楽になってくれれば良いと思われることでしょうが、そのような保証はどこにもありません。
よって、今、資金繰りが確保されているからといって何もせず安心していたら、後々大変な状況に陥ってしまう可能性も否定できませんので、税金や社会保険料は猶予してもらわず、先に納税した方が無難かもしれません。
今は、危機的状況を回避するために問題を先送りしただけに過ぎませんので、これから来るかも知れない大きなリスクに備え、抜本的な解決に歩を進まれて取り組みすることが経営判断として大切なのではないでしょうか。