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銀行の債権回収方法

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銀行の債権回収方法

銀行や信用金庫、日本政策金融公庫などは、中小零細企業の融資先が返済不能となり期限の利益を喪失するとどのような対応をしてくるのでしょか。

金融業界や金融システムをあまりご存じない方は、金融事故となれば直ぐにあらゆる資産を差し押さえて回収をしてくると思われることと思いますが、現実には経営者の妄想で終わっていることが少なくないようです。

銀行などの金融機関は不動産などの担保があれば換価処分して回収を行いますが、それ以外には執拗に債務者を
追及してくることは殆どありません。

従来、銀行が対応してきた傾向としては、債権の回収を図るために時間と労力を掛けても無駄だと判断し、マニュアルとおりの手続きを進め、さっさとサービサーへ債権譲渡をして終わらせるということをしてきました。

特に力のある都市銀行においては、非常に速い対応をして手離れする傾向にあるのですが、体力のない地方銀行になればなるほど、いつまでも債権を保持したまま時間を掛けてでも回収を図ろうとする傾向にあります。

それでも基本的な対応としては、プロパー融資の債権はサービサーへ売却し、保証協会付き債権は代位弁済を行うことにより処理をすることになります。

しかし、昨今では、業績が悪化している地方銀行などにおいてイレギュラーな対応をしてくることが多く見受けられる傾向にあるようです。

最終的な処理方法は従来とおり変わりませんが、体力のない地方銀行においては連帯保証人となっている経営者が保有している他行の銀行口座の差し押さえをしてくることが見受けられるようになりました。

特段の決まりやルールはありませんが、一般的な傾向として債権を回収するために銀行が他行の口座を差し押さえするということは非常に稀であったのですが、近年では増えてきているように感じます。

本来、金融機関は経済合理性を重要視していることから、さまざまな対応については損か得かで物事を判断するため端から回収の見込みがないような他行の預金口座を差し押さえても無駄だということは理解しているはずです。

しかし、経済合理性などを度外視した形で対応してくる銀行も少なからず見受けられるようになってきたことは事実としてあるので、十分留意する必要があると言えます。

各地方銀行においては、地元の中小零細企業を支援して、企業の発展や地域社会の繁栄に貢献することが金融機関としての立場であり社会的役割なので、地元の企業を倒産させたということは回避したいという傾向にあります。

そのようなことから考察すれば、他行の預金口座まで差し押さえをして追及をするという強硬的なことをすることは経済合理性を欠くことになる可能性が高く、かつ、社会的信用を重視する銀行からはマイナスとなるリスクがあると思うのですが、イレギュラーな対応をすることがありますので、しかるべき対策は必要不可欠かも知れません。


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