訴訟予告書等々、債権者はさまざまな通知書を送ってくることがあります。
債権者と債務者は利益が相反している関係です。
債権者にしてみれば、貸したお金は約束通り返済してくださいということは当然のことのですが、資金繰りが困難な状況となってしまった中小零細企業は返済する資金がないのです。
返済が滞ることになると、債権者はさまざまな手段を用いて債権回収を図ることになります。
債権とは、債権者が債務者に対して一定の行為を請求することとする権利をいうのですが、一般的に中小零細企業の事業者へ請求するものは、金融機関からの借入金やリース料金などの債権が大半です。
債権者が債権回収をする場合、債務者の支払能力を追求したり、支払意思を確認することが多く見受けられます。
その手段としては、通知を送ったり電話を掛けたりなどして債務者から自発的に支払いを促すのですが、中には一切連絡が途絶えてしまう人もおられます。
そのような場合には、内容証明を送ったり支払督促で請求したり、訴訟を提起したりなど、回収するために圧力を掛けることも珍しくありません。
債権回収を担当する人は、皆、債権回収のプロなので、債務者がどう出れば、こちらはどう対応するかなどの駆け引きの心理戦は百戦錬磨です。
よって、知識を持ち合わせていない経営者が安易に対峙しても有利な交渉や満足いく結果となる可能性は低いかも知れません。
債権者が一番理想とすることは、債務者が自発的に支払いをしてくれることなのですが、それが叶わないとすれば優しく接してみたり圧力を掛けてみたりと手を変え品を変え、緩急付けて請求をしてくるようになります。
その一つの方法が訴訟予告通知書です。
このような通知書を受け取ると、裁判で訴えられるかも知れないと大きな不安に押し潰されそうな気持ちになることでしょう。
これも債権者としては目論見とおりで、債務者にプレッシャーを掛けて支払いさせようという試みなのです。
特に、頻繁に訴訟予告書を送ってくるところは、クレジット会社やリース会社、信販会社、サービサーなどです。
債権者は訴訟を提起したりすればそれなりの費用が掛かることから、できることなら裁判などは行いたくないのですが、最終的な手段として差押えを活用しなければならないようであれば裁判を起こしてくることは少なくありません。
差押えを行ってくる目的としては必ずしも回収することだけではなく、時効の中断を目的としている場合もありますので積極的に訴訟を提起してくることもあります。
日本人は裁判慣れしていないので、とかく訴訟などと突き付けられると慌てふためくことが多いのですが、実際にお金を借りて残債があることは事実なのですからそんなにビクビクする必要はありません。
訴訟予告書とは、債権者が債権を回収するために債務者にプレッシャーを掛ける一つの手段だと認識していれば良いかも知れません。