止血って大事
各企業の経営環境によって資金繰りの考え方や対応方法は変わることになります。
健全経営の状態であれば、一時的に短期で資金調達をしても良いでしょうし、取引先への支払いを先に延ばしてもらうことでもよいでしょう。
しかし、経営が悪化した状況での資金繰りは並大抵での苦難ではなく、想像を超えた大変さがあります。
どんなに資金繰り表を見直しても、何度も電卓を打ち直しても不足する資金は穴埋めできないのです。
そのような時、一生懸命ネットで調べた結果、経営者が考えることは条件変更のリスケジュールということと事業資金ローンなど、ノンバンクから借り入れをするということです。
資金繰りとは、収入と支出の過不足を調整して手元資金が常に余るように調整することは言うまでもありません。
中小零細企業の経営者は、長年培ってきた経験と感覚で資金繰り表など作成しなくても、資金が足りるか不足するか分かる方が少なくありません。
資金がショートすると感じた経営者は、借りて何とかしようとされる方が非常に多く、とりあえず後先考えずに高金利でも借りてしまいます。
また、金融機関や顧問税理士の先生、コンサルタントなどに相談をされた経営者の方は、そのほとんどがリスケジュールを勧められて条件変更の手続きをされています。
このリスケの多くは、元本を止めて金利だけの支払いに条件を変更するということが多く行われています。
これは金融機関からの借入金返済が困難となったときの対処方法としての止血対策です。
しかし、この条件変更は、単に返済が困難だからということで簡単におこなうべきではありません。
本来リスケを行う目的としては、震災等の影響などにより一時的に返済が困難な状況になったけれど、将来、業績が回復して良くなるということで行うべきものであり、売上が激減していたり万年赤字体質で債務超過の延命処置としてはリスケをするべきではないのです。
特に気を付けなければならないことは、リスケを申し出たことにより金融機関から追加担保を求められたり高金利への変更を要求されたり、連帯保証人を出せと言われたりすることもあるからです。
このように、リスケは止血をする有効な手段ではあるのですが、その条件や目的、将来の業績見込み等の判断を間違えると事業を再生させるための止血ではなく、単に破綻を迎えるまでの延命処置となってしまいます。
そのようなことからリスケという止血方法は、一定の期間だけで返済額を減らして再生させる手段として活用すべきであるので、安易に行うべきではないことを理解しておく必要があります。
安易に行いリスケから抜け出せなくなると、いつしか見切りを付けた金融機関から突き放されて倒産への道へ進まざるを得なくなります。
出口の見えない延命処置は、返ってリスクを大きすることに繋がりますので、十分留意しておこなうことが必要です。