債権回収
債権回収という言葉は、いつ聞いてもよい気分にはなれません。
確かに、債権者としてみれば借りたお金を返してもらわなければならないし、納品した商品の代金の支払いもしてもらわなければならないことは当然のことなのです。
しかし、どうやっても返すことができなくなってしまった借金については、ここまでやるのかというぐらいまで債務者を追い込むのはいかがなものかと思うのです。
通常、銀行などの金融機関を始め、民間企業では債権回収において経済合理性を主眼点にして損か得かで判断することが当たり前と考えられています。
もっと簡単にわかりやすく言うならば、10万円の債権を回収するために、100万円を使って回収することは経済合理性に欠ける行為なので、通常は行われないということ。
このような不経済的行為をするケースとしては、兎にも角にも感情剥き出しで、損か得かなどは関係なく嫌がらせで行われていることがほとんどです。
債権回収をする方法は様々ありますが、一番簡単な手続きとしては支払督促というものがあります。
この支払督促とは、金銭債権等の請求権について、債権者が裁判所へ申し立てをすることにより、裁判所で裁判を行うことなく書面審査のみで裁判所から支払いを命じることができる処分のことを言います。
その他、裁判にて債務名義をとり、預金口座を差し押さえしたり不動産に仮差押えや仮処分などという手続きをしてくることなどは頻繁に見受けられます。
これらの手続きは、そのすべてが費用を掛けても経済合理性が図れるという考えから行われているのです。
ところが、経済合理性が図れないことは百も承知で行ってくる手続きがあります。
それは、連帯保証人となっている経営者の自宅へ動産執行(家財)の差押えをおこなってくることです。
現在は、生活必需品である洗濯機や冷蔵庫、テレビ、等々、通常の家財道具は差押えが禁止されていますので、実際に申し立てしても何も差し押さえることができないのですが、それでも手続きをしてくることが少なくありません。
それは、恐らく嫌がらせや脅しの目的で行われているのだと思います。
債務者側の対応の関係もあるかも知れませんが、本当にどうすることもできない状態となっている孤独な経営者は、思い詰めて夜逃げや自殺などという行動に駆られてしまう方も少なくないので、債権者の回収方法も今直ぐ取り立てするということから、企業を生かして債権回収が図れるように変われると良いと思うのです。
債権回収に力を入れて会社を潰してしまうことは簡単なことだと思いますが、逆に損して得取れのような利益を生み出すことができる会社に育ててから債権を回収することの方が経済合理性が図れるのではないでしょうか。
多額な債務を抱えてしまった経営者も、返せないほどに借金が膨らんでしまっているならば、今直ぐ返すことばかりを考えるのではなく、如何にしてたくさん儲けて返済していけるかということに考え方を切り替えて、儲けるための行動を起こすべきではないでしょうか。
儲けることができなければ、返済することはできないのです。
今、大事なことは、自分の経営のどこに問題があったのかを真摯に思索し、自分の立場も権威もかなぐり捨てて経済的な問題を解決することです。
必死で取り組む姿勢が見えれば、中には味方となり協力してくれる債権者も出てくるかも知れません。