資金繰りブログ

道理と義務と能力

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道理と義務と能力


道理とは、物事の正しい筋道とか人として行うべき正しい道。 正論であることなどのさまを言います。


義務とは、人がそれぞれの立場に応じて当然しなければならない務めや必然的になすべきことを言います。


能力とは、物事を成し遂げることのできる力を言います。


中小零細企業の経営者は会社の最高経営責任者なのですが、会社の経営状況を正確に把握しておられない方が少なくありません。


確かに、日々のあらゆるすべての業務に目を配り、仕事の受注活動から取引先とのやりとり、従業員への指示、見積・請求・支払い、そして資金調達に至るまで対応をしなければならないため、経営状態をまんべんなく把握することは非常に大変なことは言うまでもありません。


それでも経営が順調なときはそれなりに営業活動を行うことができるのですが、いざ、経営状況が悪化してくると会社の状況を把握していないことは致命傷になってしまいます。


一般的に経営状況を判断するには、決算書や試算表を見て売り上げが上がったとか、利益が減ったなどということで判断される経営者が多くおられるのですが、実際には財務諸表の結果で判断できることは過去の業績がどうであったかということでしかないので、参考程度にしかならないのです。


現状、大事なことは、将来に向けて受注売上が上がっていく見込みがあるとか、利益率が高い事業が順調などということであれば良いのですが、逆に先行き経営に不安があるとか資金が行き詰まる可能性があるなどということであるならば、その不安を取り除くために実際はどのような状況なのかを具体的に把握する必要があります。


負債が大きく膨らんでしまい、返済や支払いが困難となったり、返済そのものが不能な状況になってしまったという経営者は少なくありません。


それでも何とかしなければと、家族や親、兄弟まで巻き込んで資金を借りることに必死で取り組みされている社長は珍しくないほど多くおられます。


このような会社は、なりふり構わず至るところから借金をしまくっているため、とりあえず僅かながらでも手持ち資金があるので倒産はしていないのですが、事実上は経営破綻をしていることになります。


それでも経営者の考え方や性格により、返す充てのない借金を繰り返して被害者を増やしていることは頻繁に見聞きすることです。


借りたお金は返すことが道理です。  返せる資金があるのであれば返すことは当たり前です。


また、金融機関とは契約をしてお金を借りたのですから、債務者として返すことは当然であり義務なのです。


しかし、綺麗ごとを抜きにして、実際に返済できない状態であるならば、その現実をどうするかということを考えなければなりません。


ここでよくあることは、経営者本人が経営破綻していることや返済能力がないということを自覚していない場合や分かっていないこと、そして認めようとしないことなどがあります。


何がなんでも道理と義務に固執して、必ず返済しなければという背負いきれない責任感のもと、家族や身内まで巻き込んで多重債務者への道へ突き進んで行くのは決してよいことではありません。


借金を返済するために、更なる借金をしてやり繰りすることは、絶対に行うべきではない禁じ手です。


もし、今、このような状況に陥っているとするならば、まず、返済能力が無いということを自覚するべきです。


そして、この経済苦を乗り越えるために、借りて返すという逃げの行動を改めることが大事です。


困ったときに「助けて」ということは恥ずかしいことではありません。


ずたずたな状態にあっても、弱っていても、目の前の険しい会社再生に向けて懸命に取り組みされれば、不本意な環境から抜け出すことはできるのではないでしょうか。


先ずは、できることから始めてみることが、新たな仕組みを整備する作業になるかも知れません。


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