資金繰りブログ

事業再生ADR

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事業再生ADR


先月、経営再建中の曙ブレーキ工業の記事が日経新聞に記載されていました。


曙ブレーキ工業とは、東証一部上場をしている会社で車のブレーキを扱う世界の大手企業です。


記事の内容によれば、各金融機関に対して債権を一律5割放棄するよう要請したと書かれていました。


この記事が出る数日前には、大手都市銀行は債権放棄を承諾したと書かれていましたが、今回は数多くの地方銀行の反発の声が相次いで反対されたのです。


私的整理の一種である事業再生ADRは、裁判以外の紛争解決を目指した手続き方法です。


この手続きの事業再生ADRは、再建計画をすべての債権者の同意が必要なため、合意が得られなければ再建そのものが前に進まなくなってしまうという特徴があります。


本来、債権者が債権放棄に理解を示してくれるならば、多くの中小零細企業が経営改善することができるのですが、債権者の立場からすれば、コンプライアンス面や株主対応などからすると、簡単に債権放棄など出来ないことは基本的な対応姿勢だと言えます。


ですが、実際に債権放棄が行われたという情報も極僅かですがあることも事実のようです。


例えば、中小企業再生支援協議会や企業再生支援機構などが関与して支援した案件などであるとも聞いたことがあります。


しかし、現実的には限りなくゼロに近いことであり、余程、特別な何かがなければ簡単に債権放棄などできることではないので、金融機関に相談をすれば、もしかしたら債権放棄してくれるかも知れないなどと安易に考えない方が無難かも知れません。


世の中、そんなに都合の良い話はないので、毎月、少しずつでも返済を続けていくことが基本的な対応姿勢なのではないでしょうか。


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