壁の向こうの新しい景色
経営が危機的状況に陥ってしまったときの大敵はどのようなものでしょうか。
あらゆる債権者だと言われる方も少なくありませんが、実際は違うように思うのです。
もちろん、債務者と債権者とでは利益が相反する立場にありますので、お互いが満足いく和解や解決は大変難しいと言えます。
しかし、それが天敵や大敵とは言えないと思うのです。
本来、一番の大敵とは経営者本人の自分自身なのではないでしょうか。
業績が悪化しているにも拘わらず、何の手立てもせずに現状を変えようとしない。
財務内容が悪化しているにも拘らず、追加の借り入れだけでその場を凌ごうとする。
さまざまな妄想が浮かび上がってきて、大きな不安に駆られて身動きが取れない状況になっている。
何とかしなければならないと理解しているのだけれど、経験したことが無い不安と恐怖心から現状にしがみ付いたままでいる。
このように大きな不安に押し潰されてしまっている経営者自身が自分の大敵として益々経営を困難な状態にしているのではないでしょうか。
本来であるならば、あらゆる経営課題に対して前向きに取り組みしなければならないはずなのですが、気持ちが焦るばかりで行動が伴わないほど精神的に憔悴してしまっていることも少なくありません。
しかし、その大半の原因は、会社を再生させるための知識が不足していることであり、知識さえ得ることができれば多くの不安は払拭できるのです。
そして、さまざまな対応が可能であることを知ることにより、一歩前に前進することもできるようになります。
結果として、壁の向こうの新しい景色を見ることができる可能性が高くなるのです。
出口の見えないトンネルの中から抜け出して、壁の向こう側にある新しい景色を見るのも経営者の気持ちと行動しだいだと言っても過言ではないかも知れません。