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時効

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時効

2020年4月1日から施行されている「民法の一部を改正する法律」」では、消滅時効に関する規定についても大幅に改正されました。

消滅時効制度に関し、改正民法において改正前民法から大きく変更がされた点は以下の2点です。

①債権の消滅時効期間が、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間。

②権利を行使することができる時から10年間に変更。

また、「中断」という概念が「更新」に、「停止」という概念が「完成猶予」にそれぞれ変更されました。

私は弁護士ではありませんので深いとことまでの解釈はできませんが、一般的な金消契約において考察すれば、通常は返済がストップして期限が到来した場合に銀行などの債権者はそのことを認識しているため、客観的起算点と主観的起算点は一致します。

そのため、原則的な時効期間は債務の履行期から5年となることは間違いないでしょう。

そのようなことから、旧民法の内容とそんなに違いはないようです。

日本政策金融公庫や銀行などは、返済が滞って期限の利益を喪失すると、債権回収の動きが活発になります。

コロナウイルスの感染が始まってからは、一時、債権回収の動きが停滞していましたが、昨今では活発化する傾向にあるようです。

また、サービサーなどにおいては、既に時効の期限が経過しているような案件に対しても、積極的に訴訟を提起してくる傾向が多々見られます。

長引くコロナの影響により、金融事故となる事業者が非常に増えてきていますが、危機的状況において無防備では身を守れませんので、知識を習得しておくことは大事です。

中小企業においての金融事故は、会社も経営者も破滅することに成り兼ねない重大事なことですから、しっかり具体的な対応策を取れるようにしておかなければなりません。

もう数年前に金融事故を起こしてしまわれた経営者や、金融事故を起こしそうな状況の経営者そして既に事故となってしまった事業者まで様々おられるでしょう。

誰しも借金など無い方が良いに決まっていますし、裁判を起こされたり差押をされたりはしたくありません。

しかし、金融事故となれば債権者となる日本政策金融公庫や保証協会、銀行などは債権を回収するために、裁判を起こして回収をすることが一般的です。

金融事故を起こしてしまった経営者の多くは、時効になって借金が消滅することを望まれます。

しかし、日本政策金融公庫と保証協会は別として、実際にはサービサーへ債権譲渡をされて処理されますので、執拗な債権回収をされて時効を阻止されることは珍しくありません。

債権者は、金融事故を起こして直ぐに裁判を起こしてくる場合もありますが、時効間際になってから裁判を起こしてくることも少なくないのです。

要するに、約5年近く経過してから更に10年延びることになりますので、時効を援用することができるには随分先になります。

これって、時効を目指している経営者にとって精神的にキツイものだと思います。

指折り数え、もう少しで時効になるところで裁判による請求で10年延びるのですから、落胆が大きいでしょう。

これが現状の債権回収のやり方なのです。

このようなことから考察すれば、借金を無くそうという考え方が自ら負担を大きくしているのではないかと思うのです。

経営者にとって一番大事なことは、時効を目指すことではなく事業を再生してしっかり稼ぐことなのではじゃないでしょうか。

世の中の人達は、皆、大なり小なり借金がありますので、そんなことは気にせず事業活動に注力を注いだ方が得策だと言えます。

そうしているうちに、気が付いたら昔の借金が時効の期限を過ぎていたということも十分にありますので、思考を変えてみではいかがでしょうか。


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