事業を継続する価値はあるか、倒産するか否か・・・
中小企業の事業主にとって、営業活動を停止するということは生活ができなくなることになります。
企業の99.7%は中小企業で、そのうちの70%が赤字経営をしていると言われています。
摩訶不思議な経済事情なのだと思いますが、簡単に言ってしまえば銀行から融資を受けた資金で食いつないでいると言っても過言ではないといえるでしょう。
その赤字企業でも、大きく3つに分かれると思います。
①本当は黒字だが、経費を上手に使って赤字決算をしている。(節税対策を含む)
②本業は黒字だが、本業以外の負担が大きく赤字となっている。
③万年赤字体質で、借り入れだけに依存して事業を行っている。
①の場合は、銀行からの借り入れに依存する必要のない事業者で、極力税金の支払いが発生しないようにしたい経営者の会社に多く見られます。
②の場合は、銀行からの借り入れによる返済等、負担が無ければ黒字かトントンで行けるというような事業者。
③の場合は、まさしく営業活動をすればするほど赤字が膨らんでいく事業者。
誰しも「事業は続けたい」という思いは同じ。
事業を止めれば収入が無くなります。ですから兎にも角にも現状にしがみつくのです。
経営者として事業を継続して行こうと諦めない気持ちは大切です。
しかし、現状をしっかり見極めることは必要なのです。
①については論外ですが、②と③については現状から抜け出すために、しかりと対策を取って行く必要があります。
特に③については融資が出なくなれば終わってしまうことになりますので、事業そのものを検討して対策を取らなければなりません。
しかし、その対策を施しても赤字体質から脱却することができないとするならば、事業を継続する価値が無いと市場から言われていることになりますので、撤退も視野に入れた検討が必要だと言えるでしょう。
長年に渡り赤字経営をしてくると、経営者の感覚がズレてしまっていることが珍しくありません。
本来であるならば、自分の利益のため、家族が豊かに生活することができるため、従業員の生活を守るために事業をおこなっているはずだと思うのです。
もちろん、社会貢献をするということもあるでしょう。
それが、いつしか会社を無くさないように守ることが目的となっている経営者が少なくないのです。
会社を潰さないために「気合で頑張り続ける」・・・・・
とにかく、「売上さえ上がればなんとかなる」という売上至上主義。
確かに売り上げが無ければ事業継続はできませんが、一番大事なことは「利益」を増やすことなのです。
ここの感覚がズレている経営者は結構多くおられます。
例えば,今の現状とは異なりますが、昔は建築の100億より土木の10億と言われた時代がありました。
これは売上の大小ではなく、売り上げ規模が小さくても会社に残る利益は大きいということを用いた例えです。
売上が多かったとしても、会社に残る利益が無ければ経営環境が良好とは言えず、日増しに倒産へと進むことになってしまいます。
また、銀行からの借り入れについて考察してみれば、一生懸命仕事をして得た利益を銀行に
差し上げることになります。
これってどのように思われるでしょうか。
本来であるならば、調達した資金を活用してお金を増やす経済活動をすることが目的なはずなのに、負債の支払いや借入金の返済資金に当てる使い方をすれば、経営難に陥ることは当然と言えば当然のことなので、自分で自分の首を絞めていることになります。
これでは本末転倒です。
やはり経営者は「利益を出す」ということに全力投球しなければなりません。
如何にして儲けるか・・・
如何にして事業を継続していくか・・・
一度、原点に戻って考えてみる必要があるかも知れません。
ご相談者においては、銀行から借り入れた資金の返済さえなければ何とかやっていけるという事業者が非常に多くおられます。
これが営業活動をする足かせになっており、このコロナによって更に負担が増えることになりますので、非常に厳しい環境下へと追い込まれてしまう可能性が高いと言えます。
やはり、そのうち何とかなるということは十中八九ありませんので、新たな手を打つ行動へと軌道修正することが必要不可欠なのではないでしょうか。
終息する兆しが見えないコロナ過においては、先手、先手の行動が事業継続の分岐点になると
思います。
良い形へと変化することができるよう、行動を起こされてみてはいかかですか。