事業を継続するか否かの選択
新型コロナウイルの影響により緊急融資を受けた中小零細企業においては、返済猶予期間も経過していよいよ返済がスタートしている事業者も出てきています。
しかし、業績が回復して売上利益を確保できているのであれば問題ありませんが、業績が回復していな状況において、返済が始まってしまうということは急激に手持ち資金が減っていくことになります。
様々な報道や信用調査会社などの発表によれば、昨年の倒産件数は前々年度よりも減ったということですが、今年度に入ってからは徐々に増えているとのことです。
経営危機に陥ってしまわれた事業者にしてみれば、何とか事業を継続したい、商売を継続したいという思いがあるのですが、実際には先行きの見通しが見えないことから事業継続を断念してしまう経営者も少なくありません。
国の政策では、新たな事業展開をするにあたり助成金を出すというような支援もありますが、3分の2の助成金が出るとしても、その3分の1にあたる資金を捻出することができないのですから、チャレンジしたくても出来ないということが現実なのではないでしょうか。
本当に行き詰ってしまった経営者にしてみれば、事業を継続するには借り入れ、借金がどんどん増えていくことになります。
また、事業継続を辞めてしまうとすれば、借り入れや借金の返済ができなくなると共に、生活費を稼ぐことができなくなるので、辞めたくても辞められないということになるのです。
このような状況で顧問税理士の先生や法律家の先生に相談をすると、十中八九、破産するしか方法がないと言われます。
そこで愕然とすることになるのですが、どんなに多額の借金があったとしても破産などする必要はありません。
まだ、他にたくさんの選択肢があるのです。
ここで大事なことは、借入金や借金の多少に関係なく、社長が事業を継続して行くんだという強い信念を持ち続けることができるか否かで決まると言っても過言ではありません。
必ず道はあります。
但し、見極めなければならないことは、先行き縮小していくような時代に合わなくなっている事業など、需要が減っていて、かつ、やればやるほど赤字が累積していくような事業は廃業する決断も必要です。
一番大事なことは、借入金や借金の返済は別として本業で儲けを出すことができるかどうかということなのです。
例えば、100円で仕入れた商品が90円でしか売れないとすれば本業では赤字ということになりますので、これは事業として成り立たないということになるのです。
以前のご相談者の方には、切り詰めるだけ切り詰めて給与は毎月10万円だという社長がおられました。
これって、ほんの僅かな期間であればよいのですが、業績が改善される見込みもなく、毎月10万円しか所得を得られないということであるならば、事業を止めてどこかへ働きに行かれた方が収入が安定して高収入を得られることになります。
即ち、お金を稼ぐために仕事をしているのですから、稼ぐことができないということであるなば、さっさと事業を辞めてしまった方がいいということです。
経営者にしてみれば、長年、会社のため、家族のため、従業員のために頑張ってきたのですから簡単に辞めるなどとは行かないことだと思いますが、躊躇している場合ではないのです。
事業を継続するか否かの選択は、本業で利益を生み出すことができるか否かで判断することは大事なことなので、本業で利益がでるように頑張ってみてください。