今日は、残念な事例についてお伝えいたします。
年配の女性からご相談があり、顧問税理士の先生から自己破産を勧められているとの
こと。
ご本人としては、絶対に自己破産だけはしたくないという思いがあるとのお話でしたので、ご相談をお受けいたしました。
会社は、靴を店舗で小売販売をする業種です。地方ということもあり、人口減少や高齢化、地域の無計画な開発により
駅前はシャッター通りとなり、昔ながらの小売店は壊滅状態で、かつ、大型ショッピングセンターも閑古鳥が鳴いている状況でした。
バブルの頃に銀行から勧めれて自社ビルを建設、そして自宅として住みながら1階を店舗として営業をしていたのです。
他の部分は賃貸店舗として、一部を保険会社へ貸しています。
町全体が衰退しているので商店街の多くは廃業をした空き店舗が多く、シャッター通りなため空きテナントも入居者が決まらない状況でした。
現在、本業の小売業は営業不振のため廃業をしています。
借金は、自社ビル建設費と業績悪化に伴う運転資金の借り入れ、不動産屋から騙されて
5000万円で買った、大型ショッピングセンター近くの田んぼの借金がありました。
(現在の田んぼの価値 : 高く見積もっても120万円程度)
その借金をするときに、奥様(現社長)と息子さんが連帯保証人になり、担保には自宅の他、所有していた一般住宅も入担している状況。
そのため自社ビル建設費と運転資金で借り入れした返済が滞り、危機的状況となっているのです。
そして、そんな最中に社長が亡くなってしまったのです。
ここで相続。
奥様は会社を引き継いだのですが、債権はサービサーへ債権譲渡され、信用保証協会へは代位弁済されている状態です。
事業が上手く行かず、閉店して廃業しているにも係わらず会社を受け継いで代表取締役として就任されて、毎月僅かな返済を続けておられるのです。
その理由としては、担保に取られている自宅や戸建住宅が競売で取られて会社まで無くなってしまっては、ご先祖様に申し訳が立たないということ。
会社自体も廃業をしているのにも係わらず、会社が存続していることに拘っているというケースでした。
(無くなったご主人に申し訳無いから)
ここで大きな勘違いをしていることは、
不動産を担保に入れて抵当権の設定をした時点で、その不動産は金融機関のものになったということで、自分のものではないということ。
借金をすべて返済するまでは、自分の不動産ではなくなってしまったということを認識しなければならないのです。
それと、死に体でゾンビとなっている会社の社長になり続けることが、会社を存続して
守るということでは無いということです。
借金だらけでどうにもならなくなった会社を死守し、抵当権付きの不動産を守りたい、
連帯保証人となった息子や身内、家族を守りたい、
サービサーや信用保証協会からすべてを守りたいという気持ちは十分に分かるのですが、事前に対策や準備をしていなければそれは無理です。
結果として、ご先祖様に申し訳が立たないという思いで、息子、嫁、孫に至るすべての
家族を巻き込んでしまうことを選択されました。
相続は良しても、その後に対策をしっかり行うことで、最大限の資産と財産を守り再起の道筋も見えていました。
更に、連帯保証人の息子さんや家族も守れるような考え方でいたのですが、
何一つ妥協できるものが無く、ご先祖様に100パーセント満足してもらえる方法以外
受け入れられないということで、ご自身が断念されてしまいました。
これも自分の人生だと・・・・・
確かにその通りです。
しかし、自分自身の問題であればそのような考え方でも良いと思いますが、
息子である長男、嫁、孫は連帯保証人にさせられた挙句に、住んでいる住宅を競売で追い出されることになるのです。
結果としては、サービサーと信用保証協会から身包み剥がされて、自宅ビルや戸建住宅は取られ、更に息子が借金を肩代わりして家族全員が路頭に迷うことになるのが必至です。
そして長男は人生を諦めてしまい、連帯保証人として一生涯返済を続けて行くという道を選びました。
その借金は、自分の代では完済することができないので孫の代まで続くことになります。
まさしく、サービサー奴隷のようですね。
結果として、会社を存続させることを重要視して身包み剥がされて何も残らないという
道を選択したのです。
何とか悪い中でも最良の形が取れるようご助言申し上げたのですが、すべてを死守して
失いたくないという思いが強く、助けることができませんでした。
恐らく今頃は、サービサーが競売の手続きに入っていることと思います。
教訓としては、準備を怠りすべてを守ろうとすればすべてを失うことになるということ。
欲をかかず現状を把握して、失うものがあっても最大限残せるものが多い方が得策なのではないでしょうか。
不動産を一つ失っても、残った資産や財産が多く残り、再起できれば新たに不動産を買えば良いのです。
本来、残せる資産や財産のすべてを失ってしまえば、それこそご先祖様に申し訳が無いのではないでしょうか
それでは、本末転倒です。
私たちは、全面的に経営者の力になります。
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