借りたお金が返せない・・・
世の中の常識とは、『借りたものは返すのが当たり前』ということになります。
こんなことは、子供の頃から祖父や両親、学校の先生から耳にタコができるほど聞かされていることです。
人として、人様から借りたお金は返すことが当然のことだということは百も承知していても、事業を行っていくうえでは、それが成し得なくなってしまうことも珍しくありません。
何とか創意工夫し、一生懸命寝ずに働いてもその返済原資を生み出すことができない状況となり、どうすることもできないという経営者もおられます。
そういう状況に陥っしまった人に対して、借りたお金は返すのが当然だ、『返せ』『返せ』とまくし立てても本人はどうすることもできないのです。
このように追い込んで行くことにより経営者が取る行動は、どんなに高金利であっても貸してくれるところから借りまくり、それでも足らなければ親や奥さん、子供、兄弟まで巻き込み借りて返そうとします。
これって、端から返す当てのないお金を借りる訳ですから、貸した企業は新たな犠牲者になるのです。
そして、更に追い込みを掛けると、生真面目な社長は自殺や夜逃げという最悪の結果となることもあります。
それでも経営者が法律家に依頼する資金があれば、破産という手続きも可能だと思いますが、これは法律を使った『踏み倒し』ということになります。
多くのご相談者の方は、借りたお金は返さなければならないと言いますが、破産してしまえば法律を使って踏み倒すことになりますので、結果、表面的な綺麗ごとでしかないということです。
それでも金融機関や貸金業者などでは商売としてお金を貸しているので、ある程度の貸し倒れは見込んでいますが、従業員や取引先、身内や知人などにおいては、信頼関係で協力してくれているのですから、絶対に迷惑を掛けるべきではありません。
また、もし破産すれば借金は無くなりますが、それ以降の人生再建は非常に困難なものとなることを覚悟しなければなりません。
『借りたお金は返すのが当たり前』だということに対しては、決して返さないと言っているんではなく、『今直ぐには契約通り返すことができない』ということなのです。
破産して踏み倒す道を選択するのか、今は返せないけれど事業を立て直しして利益を得てから返済するという道を選択するのかは経営者次第です。
破産して逃げるのは簡単ですが、それからの人生再建が大変なことになりますので、経営者の責務として立ち向かう勇気が必要なのではないでしょうか。