不良債権処理・増大
昨日の日経新聞に掲載されていたので既にご存じの方もおられることと思いますが、全国の地方銀行の不良債権処理が2倍に膨れ上がっているとのことです。
リーマンショック後にできた中小企業金融円滑化法により、リスケジュール等の返済猶予で支援をしてきたり、利払い猶予するなどの対応をしてきたのですが、業績が回復することはなく、逆に経営難となってしまっている事業者が顕在化してきてしまっているのです。
これにより、支援をしてきた金融機関は与信費用が増大し、収益を押し下げる要因となっているので、7割にあたる地方銀行が減収か赤字になってしまったようです。
大手信用調査会社の発表によれば、返済猶予を受けた後、再建できずに倒産した企業は3年連続で増加しており、今年度は前年度を上回るペースで倒産が相次いでいるという。
この原因は、本業で稼ぐ力が低迷していると指摘されています。
また、昨今ではよく耳にすることなのですが、今までは国の政策が返済猶予等で中小零細企業を支援する方針でしたが、経営改善できない企業が非常に多いため、業績を回復することができず経営改善ができない企業は市場から退場させるという方針に変わりました。
即ち、社会に必要とされない企業はどんどん退場させ、これからの時代に必要とされる事業者には支援を強化していくことで、新陳代謝を図ろうという政策に方針を転換したことにより、各省庁の流れが変わったのです。
当然、金融庁の方針が変わったので、その管理下にある金融機関も対応を変えることとなり、昨今では返済猶予の支援を突然打ち切られるということが頻繁におこなわれるようになりました。
経営危機となられた中小零細企業は、返済猶予を受けて立て直しを図ることが大前提なのですが、元本の返済を止めることに慣れてしまい、必死で経営改善に取り組みをしている経営者は非常に少ないのかも知れません。
多くは半年ごとに返済猶予の延長契約を行います。
それが1年、2年、3年と延長して行く中で、売上の増加や営業利益の増加が見られて業績が改善されているのであれば良いのですが、改善が見られず先行きも目途が立たない状況であれば、延長打ち切りで市場からの退場を余儀なくされることになります。
最近では、突然、返済猶予打ち切りを告知される事業者が増えています。
もし、今、返済猶予を受けているとするならば、明日は我が身ということもありますので、行き成り告知を受けてあたふたする前に事前の対策を取っておいた方が無難かも知れません。
一番怖いことは、今、自社がおかしくなっていることを感じていないこと。
自分の会社のことであるはずなのに、見て見ない振りをしている傍観者となっていれば、いつしか市場から退場宣告を受けることになる可能性は非常に高いです。
世の中の流れや政策、方針等々は日々目まぐるしく変わっていますので、1か月前は大丈夫であったことが今日は大丈夫で無くなっていることも珍しくありません。
しっかりアンテナを張って早め早めの対応が必要なのではないでしょか。
自社の借金が知らぬ間に不良債権化される前に。