【応援する人と足を引っ張る人】
経営危機となり、もう、自分ではどうすることもなくなってしまい仕方なく専門家へ相談をされる方は珍しくありません。
私たちのところへご相談にお越しになられる方にも、そのような傾向が多々見受けられます。
経営危機に陥ると、経営者の脳裏には「倒産」「破産」という言葉が思い浮かぶようになります。
顧問税理士の先生や法律の専門家へ相談をすれば、破産するしか方法が無いと言われることが殆どなことから、破産を回避したいと思われる方がお越しになられます。
今の時代は昔と違い、事業を再生したりなど様々な選択する手段が活用できるようになりましたので、返済ができないイコール破産ということは少なくなりました。
経営者は、とことん追い詰められた状況になり、始めて奥さんや子供などの親族に状況を話すことは珍しくありませんが、ここで状況が大きく変わってしまうことがあります。
それは、家族や従業員、取引先など、社会的弱者を守るために事業を継続する道を選択にしたはずが、奥さんや子供から破産を勧められてしまうというケースです。
例えば、顧問税理士の先生や弁護士の先生からは破産を勧められていて、奥さんが会ったこともないコンサルタントは事業継続の道へ進むことを勧めていることから、ご主人が騙されているのではないかと疑ってかかり、騙されては大変だと必死で破産を勧めるのです。
経営者ご本人もよくあることなのですが、ご家族の方達はどんなに苦しい状況であっても自分達は普通だと思い込まれていることが少なくありません。
即ち、経営危機に陥ってしまっており、失うものなど何もない状況であるにも係わらず、資産を騙し取られたら大変だと必死に抵抗するのです。
そして、破産をすれば負債をすべて無くすことが出来て軽くなるので、早く破産をした方がいいと破産を促すようになります。
確かに破産がすべての悪と訳ではありませんが、最終的な着地点を見定めず、とにかく借金債務が無くなればいいということから破産に踏み切ってしまわれるのは如何なものかと思うのです。
本当にそれで良いのでしょうか。
破産を選択すれば、債務の額や事業の規模など一切関係なく法律の下ですべてが公平に処理されます。
もちろん金融機関だけではなく、取引先への未払金や親族からの借り入れも特別扱いされることなく処理されます。
それにより、経営危機という呪縛から抜け出すことができることになります。
しかし、これで本当に良かったのでしょうか。
状況によっては、従業員は仕事を失いその家族まで路頭に迷わすこととなり、取引先へは支払いを法律で踏み倒すことになる訳ですから、場合によっては連鎖倒産ということへ繋がるかもしれません。
やはり経営者としての責務は、社会的弱者を守ることが使命なのではないかと思うのです。
借金債務が無くなればいいと言う訳ではありませんし、仮に借金が無くなっても自分や家族の生活が成り立たなければ生きていくことができません。
そのようなことを全体的に見渡して考察すれば、無責任に破産で終わらせるという選択肢は一番最後の手段なのではないでしょうか。
周りの取り巻きの人達には、悪気もなく破産を勧める方がいるかも知れませんが、人生100年時代、先を見越して自分の人生を考える必要があります。
多額の負債をゼロにすることが最終目的では無いはずです。
どんなに借金があったとしても、事業を継続して生活に困らない収入を得続けることができる方が良いと思いませんか。
希望や目的によって目指すことや進むべき方向が異なります。
後で失敗したとならないようにすべきだと思います。
自分にとって本当の味方なのか、または足を引っ張る人なのか、冷静に見極めることが大事です。