を勧める人と勧めない人
新型コロナウイルスの影響により、経営危機に陥ってしまわれた企業は少なくありません。
報道によれば破産手続きに入っている企業はさほど多くないと言われていますが、それはコロナウイルスの影響により裁判所が破産手続きを受け付けていなかったり、手続きを中断してしまっていることが原因のようです。
様々な制限が解除されていく中で、これから破産する企業が増えていくことは避けられないかも知れません。
中小零細企業の経営者が破産を決断するまでには、社内の役員を始め、顧問税理士の先生や法律家などの専門家に相談をしてから決断されていることが殆どだと思います。
その決断に至るまでには、数ヶ月という月日の間、眠れない日々を過ごされながら悩まれてのことでしょう。
これはよくあるケースなのですが、当然ながら経営者の方は長年経営してきた会社を倒産させて破産などはしたくないのです。
しかし、金融システムや法律を知らない家族や身内、そして顧問税理士の先生、法律家など、相談した様々な人たちから破産を勧められることにより、不本意ながら破産の道へと進まれてしまうことが珍しくありません。
既に破産をしてしまった企業でも、本来なら破産などする必要も無い状態で破産をしてしまったという企業も少なくないのです。
この進むべき道の良し悪しは、人それぞれ考え方の違いがあると思いますが、直ぐに破産への道へ進まれてしまうケースは、物事を四角四面にしか捉えることができず、様々な取り組みを諦めてしまうことが一番の要因かも知れません。
例えば、取引先の締め日が月末締めの翌月末払いだったとして、その締め日を翌々月末払いに延ばしてもらうことができれば支払いが一か月先になるので資金繰りが楽になります。
また、月末に手形を決済することができなければ、相手方にお願いをしてジャンプしてもらうことができれば、月末の資金繰りは楽になるのです。
しかし、破産の道へ進まれる方は、支払い期日を延ばしてもらえる訳ない。手形をジャンプしてもらえる訳ない。など、自分の固定観念に縛られてしまい、自ら頭を下げてお願いするということを行われない方に多く見られます。
結局のところ、事業再生させようとする努力もせず、あれはダメだ、これは無理、そんなことができる訳ない、等々、端から何もせずに全否定してしまう経営者の方は、破産へと進まれてしまう傾向にあります。
今まで、長年に渡り様々な困難を乗り越えて来られたにも拘わらず、経営危機という荒波を乗り越えようとされずに諦めてしまうのは何故なんだろうと思う機会に遭遇することがあります。
それは恐らく、今まで経験したこともなく何の知識も持たないことから気弱になってしまい、破産という形で終わらせてしまいたいという気持ちが強く働いてのことなのでしょう。
ですが、実際は破産ですべてが終わりになる訳ではありません。
それは何故ならば、経営者を始め、経営者の家族の生活はこれからも続くからです。
もし、就職先があり、給与を得られて生活していくことができる環境であるならばそれも一つの選択肢と言えますが、そうでなければ簡単に破産などするべきではないのではないでしょうか。
先ずは、自分や家族の生活を第一優先に考えて、これからどうするべきかを判断することが大切だといえます。