何かを得るために何かを失う覚悟
今まで順調に経営ができていたのに、なぜこんな経営危機になってしまったんだろう・・・
いろいろな経費を削減して頑張ってきたけれど、先行きの見通しが立たずどうしたらいいのだろうか。
長年取引してきた銀行からも融資を断られてしまい、手持ち資金も極僅かとなってしまった。
倒産したら自宅不動産は競売となり、他人に取られてしまうことになるのだけは絶対に嫌だ。
自宅に債権者が取り立てに来たら、近所の人達からどんな風に思われるのだろうか・・・
このような状況になられている方はおられませんか。
中小零細企業においては、会社の規模にもよりますが、1000万円の借り入れでも返済困難なほど負担となる事業者もいれば、10億円の借り入れが負担となる事業者など様々です。
しかし、共通していえることは、業績が悪化してきた企業へ融資する場合、金融機関は経営者を連帯保証人とするだけでなく、経営者の自宅不動産を担保として取ることが少なくありません。
この考え方は色々あることと思いますが、一般的によく言われることは、経営者の自宅を担保に取れば競売などで他人に取られるようなことにはなりたくないという強い思いから一生懸命返済するだろうということ。
もちろん返済不能になれば競売をして回収を図るための保全という考え方もありますが、経営者の心理を考察しての保全もあるのです。
自宅マイホームは経営者にとっても唯一心が休まるオアシスなのですから、手放したくないことは当然のことです。
ですが、多額の借入金を返済できなくなってしまわれた場合には、その執着心は非常にマイナスに働きます。
特に、世間体に拘りを持つ経営者は家を競売で失うなどということは絶対に避けたいという思いが強く働く傾向にあります。
確かに家族の思い出が詰まった家なので、失いたくないという思いがあることは当然といえば当然のことなのです。
しかし、もし、家を守ることを重視し過ぎてしまい大損をすることになるのであれば、それは考えものではないでしょうか。
平時については平時の考え方と行動。 有事においては有事の考え方と行動が必要となるのです。
即ち、経営者の世間体や見栄、体裁、格好付け、プライド、欲、執着などを捨てる覚悟を持つことができなければ、有事の際は大損をする可能性が非常に高くなります。
自宅不動産を守ることができることもありますが、事業を継続して儲けることが大事なのです。
本業で儲けることができれば家など新たに購入することもできるのですから、今は何を優先するのかを考えて見誤らないようにすることが大事なのではないでしょうか。